日本では「ポジショナルプレー」という言葉が話題のようである。
この言葉のキーポイントは「ポジション」と「優位性」であろう。
詳しい内容についてはここでは少し割愛。素晴らしい記事がたくさん出ていると思うので。
この「ポジショナルプレー」には3種類の「優位性」があり、ピッチ上でこの優位性を確保しながら、敵の長所をを消し、勝利を手にしていくための戦術であると言える。
■3つの優位性
「数的な優位:そのゾーンにおけるプレイヤーの数によるもの」
「質的な優位:そのゾーンにおける選手それぞれの質によるもの」
「位置的な優位性:そのゾーンにおけるプレイヤーが立つ位置の組み合わせによるもの」
オランダではこのようにきちんと定義はされていないものの(私が知らないだけかもしれないが。されていたら教えてください。)この観点においてトレーニングや試合でコーチングがされている。ひょんなことから「ポジショナルプレー」はオランダのお家芸だということを聞いた。リヌス・ミケルス、ヨハン・クライフの影響からこれは間違いないことであろう。しかし、本当に彼らだけの影響でそうなったのであろうかとふと考えていたところ、あることを思い出した。「オランダサッカーが強いのは国土に対して、サッカーフィールドの割合が世界中で最も大きいから」というものだった。これはオランダサッカー協会の人の話である。本当にそうかわからないし、必ずしもそれだけではないと思うが人口1700万人で九州くらいの大きさしかない小国オランダが強い理由の一つであることは間違いない。
少し調べてみると、、、、
オランダには2017-2018シーズンにおいて、2381のサッカークラブが存在し、その内プロクラブ、セミプロクラブが51、日曜クラブが1334、土曜クラブが836、トップチームを持たないクラブが160であった。そこでは約120万の人々がサッカーをプレーしている。これを多いと考えるか少ないと考えるか。(日曜チームは日曜日に公式戦があり、土曜チームは土曜日に公式戦がある。これはオランダ特有の仕組みである。)
(引用)
https://www.ad.nl/nederlands-voetbal/knvb-heeft-meer-leden-dan-ooit~a6811f38/
http://www.voetbalarchieven.nl/specials/de-voetbalkaart-van-nederland-2017-2018/
日曜チームのクラブを分布図で表すと
土曜チームのクラブを分布図にすると
トップチームがないクラブを分布図にすると
分布図を見てもらうとわかる通り、本当にオランダにはサッカークラブは多い。場所によっては違うクラブが隣合わせにあったり、自転車圏内に3つ4つのサッカークラブが存在する。さらに多くのチームを見てきたが、基本的に全てのクラブでは1チーム15人前後で、最低週2回、1時間半程度、ハーフコートでトレーニングをすることができる。そして、必ず週末にリーグ戦がある。さらに年会費はクラブによるが3万円から4万円の間である。月会費ではない。本当にサッカーの敷居が低く、誰でもサッカーのトレーニングを受けようと思えば受けることができるのである。
そろそろ本題に入りたい。前置きが少し長くなってしまったが、「日本はサッカーのトレーニングができない」のではないかということだ。サッカーのトレーニングとは何かということになるが、これも割愛したい。(割愛してばかりだが笑)というのもこれについてはオランダで活躍している先輩方が色々と発信しているので。
このサッカーのトレーニングとは何かということを学んだ後で、日本で話題になっている「ポジショナルプレー」というものの理解が活きてきて、これをトレーニングに落とし込み、それを選手が実践できるようになるはずである。
しかし、日本にはサッカーとそのトレーニングについて理解して、本当にそれを実践させたいと考えている人がそう多くないのではないかと思う。
なぜ、そう思うかと言うと、、、その一つとして、今でさえ良くなってきているとは聞くが、一つのグランドに50人から100人の選手が同時にトレーニングしているということをよ聞くからである。そんな環境ではサッカーのトレーニングはできず、「ポジショナルプレー」がどうだとかいっていても(「ポジショナルプレー」の議論があくまでも指導者のため、選手のためであるとして)なんの役にも立たないであろう。その環境で選手たちに「ポジショナルプレー」について説き、トレーニングしたところで3つの優位性を選手たちが体験し、学ぶことは到底できないであろうと考えるからである。
オランダでは指導者がまず、サッカーとは何かということを学び、サッカーのトレーニングを実践する方法を学んでいく。そこから、それぞれが色々なことを学び、加工していく。
リヌス・ミケルス、ヨハン・クライフの影響で多くのクラブがゲームを作るという戦略を選び、その先に「ポジショナルプレー」となるものを実践させようとした。幸いオランダにはそれをトレーニングできる環境があった。だからこそ、トータルフットボールたるものが生まれ、語り継がれ、どこのクラブでもゲームを作るということに重きが置かれ、いわゆるオランダサッカーというものが生まれたのではないかと思う。そう、「ポジショナルプレー」はオランダのお家芸。。。。
これは日本に対して否定的という事ではない。むしろ、逆である。
すでにプレーする環境が整ってしまっているオランダとそうではない日本では、伸びしろという点においては明らかに日本の大きいと思うからである。日本ではサッカーをするという環境を整えることが本当に難しいと聞く。自分の地元でも20年前はサッカーゴールのある学校の校庭が一般開放されていたが、今は全く開放されていないといったふうだ。変えられる部分があるならば変えたほうが良い。
ユーロとワールドカップを逃したオランダ、彼らは何かできることを今、血眼になって探している。
「ポジショナルプレー」といった理解と議論と共に、それを実践するための環境ということに対してのアプローチもあって良いのではないかと思う。少し支離滅裂だけどお許しを。
それでは。
昨年からチームを移籍して望んだ今シーズン。
なんやかんやで9月から12月までに繰り広げられたリーグ戦で優勝しました。
全11チームで構成されたリーグで10試合8勝2引き分け負けなしという成績で終えることができました。負けなしで前期リーグを優勝したのはクラブの中でもU15のファーストチームと私たちだけでした。正直な気持ちを言えば上手くいきすぎたなと思っています。全ての運を使ってしまったのではないかと思うくらいです。
クラブの人間はこのチームに対して全く期待をしていませんでした。シーズン前にクラブのアカデミーダイレクターにはこのチームのクオリティーは残念ながら、、、、(悲)と言われていたくらいです。悲しいことに父兄や選手たちも自分たちが優勝できるとは考えていなかったようです。
ある種の革命です。やっぱりサッカーとはわからないものですね。だから、面白い。
このウインターブレイク中に、なぜ上手くいったのかを自分の中で振り返ってみると、以前とは異なる点が2つありました。
1、指導する年齢
2、コーチングのアプローチ方法
U17のチームを今まで指揮したことがありませんでした。選手・チームのキャラクターと自分がたまたまマッチしたとも考えられますが、自分とその年齢の選手たちの相性が合ったのかもしれません。個人的にはU13が合っているのではないかと考えていましたが。(笑)
その監督、コーチに合った年齢のチームが必ずあると思います。監督としてそれがわかっていればある種の強みになりますね。皆さんはそれぞれ認識しているものなのでしょうか。自分がトレーニングしたい年齢ではなく、自分自身に合った年齢ですね。
次に2番目のコーチングのアプローチ方法についてです。
端的に言えば、試合に勝つということを前提にしながら、結果ではなく過程にフォーカスするということでした。文字で表すと簡単ですが、中々これが難しい。
例えば、試合で点をとった選手に声を掛ける場合、どのようにアプローチしますか?
(試合後、褒めるというアプローチをしたい場合。)
A、素晴らしいゴールだったね。まるでメッシのようだった。
B、あのゴールは練習の賜物だよね。だから点を取れたんだね。素晴らしい。
Aの場合、選手にとっては嬉しいアプローチかもしれません。監督やコーチから自分はメッシのようだと思われているからです。しかし、このアプローチには大きな違いがあります。Aは結果について、Bはその過程についてフォーカスしています。ある研究では結果ではなく過程にアプローチをした方が、人は成長していくという結果が出ています。この理論についてはおいおい紹介するとして、このアプローチを実践することによって選手たちの能力が伸びたのではないかと思います。まだまだ結果だけにアプローチしたコーチングや声かけをしまいがちですが少しずつ変えていければと思っています。
チームは生き物とよく聞きますが、生かすも殺すも監督、コーチ次第だなと改めて感じているところです。
さて、明日から後期リーグが始まります。後期リーグは4つのリーグの上位4チームで構成されたリーグになります。より厳しくなるわけですがこのリーグで2位までに入ると自動的に来シーズン、一つ上のレベルのリーグに参加できることができます。すなわち、昇格です。また、良い報告が出来ればと思いますが、今シーズンは過程にフォーカスし続けたいなと思います。決して言い訳ではありませんよ(笑)。
それではまた、半年後に(笑)。
ブログの更新がかなり滞っておりましたが、久しぶりの更新です。(笑)
先日、やっと長い夏休みが終わりシーズンが再開しました。
オランダでは他のヨーロッパの国と同様にオフシーズンがあり、その間チームのトレーニングは一切ありません。かれこれ1ヶ月半くらいでしょうか。その間、家族との時間を大切にしながら選手たちは普段できないことをします。家族旅行はもちろんのこと、他のスポーツをしたり、夏限定のアルバイトをしてみたりとそれぞれ多岐に渡ります。なんだか大人っぽくなって帰って来るわけです。また、このオフ期間があることで体も一回り大きくなり、怪我の痛みも癒え、フレッシュな状態で新シーズンを迎えることができているようです。あとはこれから少しずつトレーニングによってフィットした状態を作っていくだけです。
話を戻すと今シーズンはチームを移籍し、Koninklijke HFCというクラブで監督をやることになりました。カテゴリーはU17です。正直な話をすればU17カテゴリーの中の3番目(1チーム15人)のチームになります。まだまだ自分の力不足と納得している反面、結果を残してクラブを見返したいと思うばかりです。さて今シーズンはどうなることやら。。。
実はこのクラブ、オランダで一番古いクラブとして知られています。
1879年にPim Mulierという青年がイギリスからフットボールを持ち帰り、それをきっかけにこのクラブが設立されました。始めはラグビーのみがプレーされましたが、1886年に初めてAmsterdam Sportというチームとサッカーの試合を行ったようです。それ以降はサッカークラブとして活動しています。
詳細はこちら:https://en.wikipedia.org/wiki/Koninklijke_HFC
(Pim Mulier)
現在、子供から大人まで約1000人の選手が所属しており、アマチュアクラブの中でもトップを走っています。トップチームはオランダ3部のリーグ所属し、プロ契約を結んでいる選手が7人から8人在籍しています。また、育成においてもリヌス・ミケルス賞(育成部門においてその年に最も評価されたクラブに与えられる)を受賞したことがあり、De voetbal trainerというサッカー雑誌が決めるアマチュアクラブランキングでも約3700クラブある中で2017年は第3位に輝きました。また、Ajaxと提携している他、オランダサッカー協会が指定している地域の強化クラブとしても認められています。それもあって指導者の入れ替わりも激しく、生き残れるかわかりませんが、学べるだけ学んで楽しみたいと思います。
引き続きよろしくお願いします。