少し懐かしい写真を見つけたのでこの写真について。JCNというのは会社の名前で、去年で創業75年を迎えたそうです。実はこの会社、Sporting Martinus(私が所属しているクラブ)のメインスポンサーになって去年でなんと50年目。驚きです。
なんでスポンサーになるの?アマチュアクラブでしょ?メリットあるの?と安易に聞いてしまったのですが返ってきた答えが
『いや、ここ俺たちの育ったクラブで、俺たちの誇りだから』
どんだけかっこいいの!中々言えることではないような気がします。彼らはこのクラブで子供の時からプレーし、今はボランティアコーチとしてクラブで活動しています。ちなみに息子はトップチームでプレーしています。オランダのアマチュアクラブはほとんどスポンサーを持っていて、クラブのホームページを見てもそのスポンサーページがあり、フィールドには多くのスポンサー看板などが置かれています。
ちなみに私が所属しているクラブのスポンサーは今シーズンだけでこれだけあります。
毎年、シーズンの終わりに次のシーズンに向けてスポサーを募るスポンサーデイがあります。そこではクラブのPRが行われ、スポンサー獲得のためにイベントが組まれます。様々なスポンサーメニューが用意されており、その中から好きなものを選ぶことができます。
スポンサーメニューの一例(年間費用)
■ユニフォームスポンサー➡︎3000€(各カテゴリー)
■グランド設置看板➡︎400€
■ボールスポンサー➡︎75€(1試合ごと)
■クラブ主催トーナメントネーム➡︎750€
■トレーニングウエアスポンサー➡︎2000€(各カテゴリー)
■トップチームのバック➡︎250€
■クラブハウス設置のテレビ広告➡︎650€
■スポンサービジネスクラブ➡︎1500€
クラブの人にスポンサーになるメリットを少し聞いてみたところ、クラブの選手は約1250人、ポランティア約300人、全カテゴリーで年間約2000試合開催、トレーニング年間約1700回、ホームページ訪問者週約1200人といったクラブに関わる人に対して広告をすることができると言っていました。またそこから、地域貢献による企業イメージのアップ、新規顧客の獲得、人材の獲得(トップチームの何人かがスポンサー企業で働いています。)、スポンサー企業間の提携など様々なメリットが挙げられるそうです。
街のサッカークラブが一つのコミュニティー、プラットホームになり、人と人を繋げ、地域の活性化、ビジネスの発展に繋げ、それを通じてクラブがより発展する形が作られているというわけです。お互いにWIN-WINの関係を築いているということです。
これもオランダがサッカー大国になり、サッカーが文化に根付いている所以かもしれませんね。
今日はオランダ人コーチの試合におけるミーティングについて。
というのも先週参加したシンポジウムでAjaxの監督Peter Boszがチームのミーティングは毎回15分ということを言っていて果たしてどういう方法がベストなのかいつも試行錯誤しながらやっているわけですが何がベストな方法なのか正直まだわかりません。年齢、レベル、チームの状況、チームの順位、リーグ戦、カップ戦、練習試合といったことなど様々な要素が関わってくるので確かにこれといった方法があるわけではないのかもしれませんが。
グアルディオラはバルサ時代、2009年チャンピオンズリーグの決勝試合前にモチベーションビデオを見せ、選手を奮い立たせたそうです。映画グラディエーターをベースに出場選手全員を必ず一度は登場させているそうです。これをわざわざ地元のテレビ局に依頼したとかどうとか。。。ちなみに本編は01:12あたりからです。
戦術の話や監督の話をするよりもこういったものを見せた方が良い場合もありますよね。
とはいっても私のカテゴリーでは中々こういったことをするのは難しいなと思います。
今週の研修チームの試合(ホームゲーム)の流れはこんな感じでした。
10:45クラブハウス集合
10:45-11:00ロッカー移動・着替え
11:00-11:25ミーティング
11:30-11:55ウォーミングアップ
12:00キックオフ
今回のミーティング時間は25分だったわけですが以下ミーティングの構成です。
1、リーグにおけるチームの状況
➡︎『私たちがボスだ。私たちがゲームの主導権を握る』現在、このチームは首位を走っています。
2、対戦相手について
3、スターティングメンバー
➡︎なぜその選手がそのポジションでプレーするのか、そしてその選手の長所をチームに共有する意味も含めてここでとにかくその選手を褒めます。
4、守備について(戦術ボード使用)
➡︎ボールを前線からどのように奪うか。
5、攻撃について(戦術ボード使用)
➡︎どのようにビルドアップするのか
➡︎どのようにチャンスをクリエイトするのか
6、コーナー・フリーキック(攻撃)
いつもこのような構成なのですが1、2、6は手短でメインは3、4、5です。このメインの内容はサッカーの構造を基に常に共通の言葉が使われ、適宜、選手に質問をしながら行われかつチームの課題やその週のトレーニングを考慮してプレゼンテーションされます。常に共通の言葉が使われ、話がチームファンクションごとに整理されるているため選手たちから質問はいつもほぼありません。(オランダの子供たちは質問すること、意見を言うことを厭みません)内容が明確である証拠です。
私が思うにこのミーティングが終わればその日の監督の仕事は半分以上終わったといっても過言ではないかもしれません。あとは、トレーニングしたことを選手たちが発揮してくれるのを待つだけだと思うので。それぐらい大切なことかなと。日々、試行錯誤は続きます。
参考までに。こういったところ学べることはたくさんあるかなと。
先週水曜日にVVON(オランダ指導者組合)とWorld Football Academy共催のシンポジウムに参加してきました。このシンポジウムは今回で第6回目を迎えましたが何気に初参加となりました。
それで今回のテーマは『ONTWIKKELEN SPEELWIJZE』。訳すると『プレーの発展』でしょうか。どうやってサッカーをして、それをどうやって成長、成熟していくかという内容です。オランダ1部リーグで指揮をとる監督をはじめ,世界で活躍する監督が講師として登壇しました。ブログラムはこのような内容でした。
■15:30 – 16:20 プレーモデルの成長・発達におけるチームオーガンゼションの選択
Vera Pauw-リオオリンピック時の南アフリカ女子代表監督。
■16:20 – 16:30 休憩
■16:30 – 17:30 ワークショップ1
①守備/ 1-4-3-3(MF逆三角形)
John Stegeman-オランダ1部Heracles Almelo監督
②守備/ 1-4-4-2 (MFフラット)
Rene Hake-オランダ1部FC Twente監督
③ 攻撃 / 1-4-4-2 (MFフラット)
Ernest Faber-オランダ1部FC Groningen監督
④攻撃から守備の切替/ 1-4-2-3-1
Maarten Stekelenburg-オランダ代表U-19監督
■17:30 – 18:30 食事休憩
■18:30 – 19:30ワークショップ2
①守備/ 1-5-3-2
Darije Kalezic-サウジアラビア1部リーグAl-Taawon FC監督
② 守備/ 1-4-3-3 (MFトップ下あり)
Jurgen Streppel-オランダ1部Heracles Almelo監督
③攻撃/ 1-4-3-3(MFトップ下あり)
Erwin vd Looi-オランダ1部Willem II監督
④ 守備から攻撃の切替/ 1-4-3-3(MFトップ下あり)
Mitchell van der Gaag-オランダ1部Excelsior監督
■19:30 – 19:40 休憩
■19:40 – 20:30 チームの発展プロセス(Ajax)
Peter Bosz-オランダ1部Ajax監督
各ワークショップでは受講者が1、2の中からそれぞれ一人を選ぶという形式で、私が参加したワークショップはこの2つでした。
• 守備/ 1-4-4-2 (MFフラット)Rene Hake-オランダ1部FC Twente監督
• 守備/ 1-5-3-2 Darije Kalezic-サウジアラビア1部リーグAl-Taawon FC監督
オランダでは中々学べないチームオーガンゼションについてです。
最終的に4人のトップレベルの監督から話が聞けたのですが、この4人に共通していることは確立された『哲学−フィロソフィー–』があるということ。そして、それを整理して説明ができるということ。この2つです。
FC Twente監督Rene Hakeは受講者に質問を投げかけ、議論する機会を敢えて作り、その問いに対してはっきり自分の回答・意見を伝えていました。その姿から全く不安や躊躇は感じられず自信に満ち溢れていたのが本当に印象的でした。
自分に当てはめて考えてみるとまだまだ薄く、論理的ではなく整理されていないなと。興味深い話が聞けて素敵な1日になりました。
先週、クラブで選手育成、タレント管理、来シーズンのチーム編成に関してミーティングがありました。まず今のチームの近況報告やチームの問題を共有し、問題解決の意見(議論大好きオランダ人です。)を出し合いました。
U15に関してはセレクションチームの編成に変更があり、それに伴いそれより下のレベルのチームもレベル調整も含め、チーム編成が大きく変わりました。(滅多にありませんが)自チームからは一人の選手(U14)がU15の監督に認められ、上のカテゴリーに引っ張られていきました。嬉しさ半分、悲しさ半分です。それによって新しい選手がチームにやってきました。育成面に目を向ければ良いことですね。
さて本題です。
私が指導させてもらっているチームは街クラブですが大人チームを除けば50チームあります。(1チーム13人から15人の選手で構成されています)
これをどうやって管理しているか?
例えば、オランダのプロクラブAZはこうやって管理しているみたいです。
https://twitter.com/SoccerLAB_GmbH
このSoccerLABのソフトを使って、クラブ、コーチ、メディカルスタッフ間で選手たちを管理しているみたいです。選手のパーソナリティーにまで着目している点が非常に興味深いです。
それで私のクラブでは今年からTalentoというソフトを使って管理するようになりました。新しい試みです。今まではそれぞれがなんとなく管理(Excelを使用)してシーズンの終わりには大忙しといった感じでした。。。汗。
このソフトの中には、クラブの選手全員のデータが入っています。
■選手のポートフォリオ(連絡先、評価、パーソナリティー)
■試合(内容、結果)
■トレーニング(出欠席、内容とその評価)
■チーム・個人データ(試合、トレーニング)
内容は多岐にわたりますが、ざっとまとめるとこのような項目です。これでシーズンの終わりがだいぶ楽になるのではないかと思っています。
ではなぜ、こういったソフトを使って選手を管理するのかということです。非常に単純ですが「コーチングスタッフ間における選手情報共有の簡易化」。
これが第一の目的です。
この客観的なデータを元に選手について話しをします。一人に使われる時間が短縮されより多くの選手について情報を共有することが可能となるわけです。(現段階ではセレクションチームの監督のみがこのアカウントを渡され、データの入力が一応、義務化されています。)
また、今のクラブではそこまで考えていないと思いますがAZのVTRで述べられているようにタレント発掘のヒントとデータの貯蓄(どんな性格でどんな選手がプロに成れるか等)も理由の一つかと思います。さらに親のためというのもあるかと思います。親たちも大切な子供を預けていて、色々と知りたいわけでこういったデータを見せて納得してもらうこともできます。(例えば、うちの子供のプレー時間が他の子供よりも短いのではないかといった場合にも有効活用することができます。)
他にも有効な使い方があるのではと試行錯誤しながらこういったソフトが使えれば良いかなと思っています。あまり頼りすぎない程度にですが。
今日の試合もなんとか3−1で勝利!良い週末でした。それではこの辺で。