今週土曜に研修チームでベスト4をかけたカップ戦がありました。試合は1-1でPK戦に。コイントスの結果、先攻が相手、後攻が研修チームになりました。お互い3人までが成功し、相手の4人目のキックが枠を外れ、リードするチャンスが到来しました。長い助走の後のキックは残念ながらGKに止められてしまいます。しかし、先にGKが前に動いたとして蹴り直しが許されることに。2度目の長い助走の後、なんとこのキックもGKに止められてしまいます。チーム全体ががっくり。そして、5人目。ついにGKがこの5人目のキックを止めました。そして、チームの5人目がきっちり決め、なんとか勝利。これでカップ戦ベスト4です。
オランダはPKに勝てないということから試合後、勝敗に関わらず11歳までのカテゴリーでは必ずPK戦を行います。勿論、全員蹴ります。失敗して子供たちが泣いているのを良く見ます。(笑)
そして、たまたまPKに関して面白い記事を見つけました。
『なぜコイントスの勝者はPKにも度々勝てるのか』という記事です。
FIFA World Cup、UEFA欧州選手権、Champions League, UEFA Cupなどの国際大会のPK1001回分を調査したところ先に蹴ったチームの60,6%が勝利しているそうです。よってコイントスに勝ち、先に蹴ることを選択すればこの確率で勝てる可能性があると言えるということです。このデータによると80.07%の確率でキックが成功しているそうです。そうなると後攻の場合、約80%の可能性で『同点に追いつかなければならない』という状況が起きてしまいます。これが心理的にプレッシャーになってしまい失敗という結果を招いてしまうのかもしれません。監督・コーチとしてキャプテンに対して、必ず先攻を選びなさいとアドバイスすることができるかもしれませんね。
ただそもそもPKは上手くなるのでしょうか?
ある人はPK戦を宝くじのようなものと言い、ある人は練習の賜物と言います。果たしてどちらが本当なのでしょうか。
私だけの経験から言うとPKは上手くなるかなと思います。少し言い方を私なりに言い換えると成功率を上げられるかなと。私は3シーズンだけSporting Martinusのトップチームでプレーしていて、練習で良かったのかなぜか試合でPKを蹴ることを任されていました。選手時代の私を知っている人は想像もつかないことかと思います。入れ替え戦、カップ戦、リーグ戦を含め確か7本くらい蹴った記憶がありますが全て成功させることができました。(少し自慢して申し訳ありません。)アマチュアクラブとはいえ200人から300人くらいのサポーターが毎試合、試合を見にくるわけで試合の状況関係なくそれだけで緊張していました。さらにPKを得た瞬間、いつも嫌だなと思っていました。(汗)
どうしたら成功率を上げられるのか。
ヒントはルーティンです。ラグビー日本代表の五郎丸選手でも話題になりましたがルーティンとは『決められた一連の動き、決められた一連の動作』のことを言います。それでPKの際、どんなルーティンを行っていたかと言うと実はある本の方法を自分にアジャストして行っていました。(当時は何かの参考になればと思い実験的に行っていましたが連続成功記録が続いてしまいました。)
その本とはこれです。オランダメソッドではありません。(笑)
「心理戦術」が日本サッカーを進化させる (サッカー小僧新書)
簡単にその方法を紹介します。
1、GKにお尻を向けてボールをセットし、置く瞬間を隠す
GKはキッカーの視線をなどでシュートコースを予測するので、GKから顔を背けて、判断材料を与えないようにします。
2、GKにお尻を向けた状態で遠くのゴールを見る
遠くの一点(ゴール)を見つめ、深呼吸をして集中力を高めます。振り返って自分が蹴るゴールを見ると、目の錯覚で大きく見え、余裕が生まれます。
3、レフェリーの笛と同時にスタートするのでは、自分の間合いでスタートする
『よしっ!』などの声を出して、心のトリガー(引き金)を引いて、助走を開始します。
そして、ここでは練習でも同じ動作、タイミングでこのルーティンを実行することが大切だと書かれています。皆さんもPKのルーティンを持っていますか?このブログが見てPKの五郎丸的な人が出てきたら良いなと勝手に思っています。そんなにこのブログ読んでないか。。。(笑)
引き続き、気ままに更新していければと思います。
カップ戦、勝利後の集合写真。みんな嬉しそうでした。
先週水曜日にVVON(オランダ指導者組合)とWorld Football Academy共催のシンポジウムに参加してきました。このシンポジウムは今回で第6回目を迎えましたが何気に初参加となりました。
それで今回のテーマは『ONTWIKKELEN SPEELWIJZE』。訳すると『プレーの発展』でしょうか。どうやってサッカーをして、それをどうやって成長、成熟していくかという内容です。オランダ1部リーグで指揮をとる監督をはじめ,世界で活躍する監督が講師として登壇しました。ブログラムはこのような内容でした。
■15:30 – 16:20 プレーモデルの成長・発達におけるチームオーガンゼションの選択
Vera Pauw-リオオリンピック時の南アフリカ女子代表監督。
■16:20 – 16:30 休憩
■16:30 – 17:30 ワークショップ1
①守備/ 1-4-3-3(MF逆三角形)
John Stegeman-オランダ1部Heracles Almelo監督
②守備/ 1-4-4-2 (MFフラット)
Rene Hake-オランダ1部FC Twente監督
③ 攻撃 / 1-4-4-2 (MFフラット)
Ernest Faber-オランダ1部FC Groningen監督
④攻撃から守備の切替/ 1-4-2-3-1
Maarten Stekelenburg-オランダ代表U-19監督
■17:30 – 18:30 食事休憩
■18:30 – 19:30ワークショップ2
①守備/ 1-5-3-2
Darije Kalezic-サウジアラビア1部リーグAl-Taawon FC監督
② 守備/ 1-4-3-3 (MFトップ下あり)
Jurgen Streppel-オランダ1部Heracles Almelo監督
③攻撃/ 1-4-3-3(MFトップ下あり)
Erwin vd Looi-オランダ1部Willem II監督
④ 守備から攻撃の切替/ 1-4-3-3(MFトップ下あり)
Mitchell van der Gaag-オランダ1部Excelsior監督
■19:30 – 19:40 休憩
■19:40 – 20:30 チームの発展プロセス(Ajax)
Peter Bosz-オランダ1部Ajax監督
各ワークショップでは受講者が1、2の中からそれぞれ一人を選ぶという形式で、私が参加したワークショップはこの2つでした。
• 守備/ 1-4-4-2 (MFフラット)Rene Hake-オランダ1部FC Twente監督
• 守備/ 1-5-3-2 Darije Kalezic-サウジアラビア1部リーグAl-Taawon FC監督
オランダでは中々学べないチームオーガンゼションについてです。
最終的に4人のトップレベルの監督から話が聞けたのですが、この4人に共通していることは確立された『哲学−フィロソフィー–』があるということ。そして、それを整理して説明ができるということ。この2つです。
FC Twente監督Rene Hakeは受講者に質問を投げかけ、議論する機会を敢えて作り、その問いに対してはっきり自分の回答・意見を伝えていました。その姿から全く不安や躊躇は感じられず自信に満ち溢れていたのが本当に印象的でした。
自分に当てはめて考えてみるとまだまだ薄く、論理的ではなく整理されていないなと。興味深い話が聞けて素敵な1日になりました。