DAINAGASHIMA

Football Trainer/Coach in the Netherlands

DAI NAGASHIMA

スカウティング

先週土曜、来週の首位決戦を前にアシスタントコーチと共にその対戦チームのスカウティングに行って来ました。絶対にチームのジャージは着て行くなよ、観客になりすませよと監督に釘を刺されましたが、俺がスカウティングに行ったらすぐ対戦チームにわかってしまうんじゃない?と思い、それを伝えたら確かにと言って爆笑していました。それでも結局、行かせてくれました。笑。

向かったのはこのクラブ。

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するとまさかの両チームとも白色のユニフォームで登場。。。笑

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前半はこの組み合わせで両チームとも平気で試合をしていました。オランダあるある?後半はさすがにホームチームがビブスを用意してそれを着て試合をすることに。

さて試合はというと、前半、今週対戦する監督が審判に暴言を吐き、早速退場処分になる波乱の幕開け。U-15であれ監督は退場処分になります。この監督かなりヒートアップしていました。ゲームはあれにあれ、そこからこのチームは失点を繰り返し後半残り15分で0−5。そして、最後に右ウイングの肘がたまたま負けているチームの選手の顔に入ったようでそこから乱闘が始まり、10分早く試合は終了。オランダあるある?怖い怖いと改めて実感しました。

さて前置きが長くなりましたがスカウティングの内容です。

どうやってスカウティングしたかというと、やっぱりサッカーとは何かが出発点となり、サッカーの構造を基にスカウティングも行われました。

監督から事前にスカウティングのポイントを聞いたのですがサッカーの構造、共通の言語(サッカーにおける)があることによって自分にとって初めての経験でしたがスムーズに物事が進んだような気がします。

①チームオーガニゼーションは何か?(1-4-3-3 or 1-4-4-2 or 3-5-2)

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②チームファンクションとチームタスクに関して。

簡単にいうと以下のポイントです。

1,攻撃➡︎ビルドアップ

2,攻撃➡︎チャンスを作る

3,守備➡︎ボールを奪う

4,守備➡︎得点を防ぐ

5,攻撃から守備への攻守の切替

6,守備から攻撃への切替

ここにフィールドを2等分もしくは3等分したり、オーガニゼーションがある状態とない状態など細かく分けられます。今回はU-15の試合で監督もシンプルが良いということでフィールドは2等分、オーガニゼーションがある場合のみでスカウティングすることになりました。これを元に対戦相手の全貌を掴んでいきます。

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(これは今回私が作ったものではなく、UEFA Aライセンスの際に提出されたHarry Akkermansという方の分析例:守備について)

あとは7,セットプレー攻撃、8,セットプレー守備です。

自分で作成したものは試合が終わっていないのでここには載せられませんがこんな形で作っています。こんなに細かくはありませんが。汗。

今回、監督から特に見てきて欲しいと言われた内容はこうでした。

■チームオーガニゼーション(トップ下ありかなしか)

■GKの能力について

■誰を主に経由してビルドアップがされるのか

■ビルドアップ時の弱点は誰か。

■攻撃の際、誰が探されるか。誰にボールが集まるか。

■守備はゾーンかマンツーマンシステムか。

■ボールを高い位置から奪いにくるか、それとも一度下がるか。

■攻守の切替における特殊した部分。

■セットブレーに関して(攻撃)。

■それぞれ気付いた点。

全貌を掴んだ後、監督にその全貌とこのポイントの答えをメールで送り、ひとます任務完了しました。

監督が必要とする情報はそれぞれ異なり、それが監督の色となり、勝敗を分けるんだろうなと思いながらこの監督が今週のトレーニング、試合でどのようにアジャストしてくるか今から楽しみで仕方ありません。また、試合後にもこのスカウティングの内容について聞いてみようと思います。

果たして役に立つのかしら。汗

おっと自分が監督をしているチームは現在、何気にリーグ首位を走っています!

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それでは。


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少し懐かしい写真を見つけたのでこの写真について。JCNというのは会社の名前で、去年で創業75年を迎えたそうです。実はこの会社、Sporting Martinus(私が所属しているクラブ)のメインスポンサーになって去年でなんと50年目。驚きです。

なんでスポンサーになるの?アマチュアクラブでしょ?メリットあるの?と安易に聞いてしまったのですが返ってきた答えが

『いや、ここ俺たちの育ったクラブで、俺たちの誇りだから』

どんだけかっこいいの!中々言えることではないような気がします。彼らはこのクラブで子供の時からプレーし、今はボランティアコーチとしてクラブで活動しています。ちなみに息子はトップチームでプレーしています。オランダのアマチュアクラブはほとんどスポンサーを持っていて、クラブのホームページを見てもそのスポンサーページがあり、フィールドには多くのスポンサー看板などが置かれています。

ちなみに私が所属しているクラブのスポンサーは今シーズンだけでこれだけあります。

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毎年、シーズンの終わりに次のシーズンに向けてスポサーを募るスポンサーデイがあります。そこではクラブのPRが行われ、スポンサー獲得のためにイベントが組まれます。様々なスポンサーメニューが用意されており、その中から好きなものを選ぶことができます。

 

スポンサーメニューの一例(年間費用)

■ユニフォームスポンサー➡︎3000€(各カテゴリー)

■グランド設置看板➡︎400€

■ボールスポンサー➡︎75€(1試合ごと)

■クラブ主催トーナメントネーム➡︎750€

■トレーニングウエアスポンサー➡︎2000€(各カテゴリー)

■トップチームのバック➡︎250€

■クラブハウス設置のテレビ広告➡︎650€

■スポンサービジネスクラブ➡︎1500€

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クラブの人にスポンサーになるメリットを少し聞いてみたところ、クラブの選手は約1250人、ポランティア約300人、全カテゴリーで年間約2000試合開催、トレーニング年間約1700回、ホームページ訪問者週約1200人といったクラブに関わる人に対して広告をすることができると言っていました。またそこから、地域貢献による企業イメージのアップ、新規顧客の獲得、人材の獲得(トップチームの何人かがスポンサー企業で働いています。)、スポンサー企業間の提携など様々なメリットが挙げられるそうです。

街のサッカークラブが一つのコミュニティー、プラットホームになり、人と人を繋げ、地域の活性化、ビジネスの発展に繋げ、それを通じてクラブがより発展する形が作られているというわけです。お互いにWIN-WINの関係を築いているということです。

これもオランダがサッカー大国になり、サッカーが文化に根付いている所以かもしれませんね。

UEFA チャンピオンズリーグ 2016-17を見に行こう!

先週、クラブで選手育成、タレント管理、来シーズンのチーム編成に関してミーティングがありました。まず今のチームの近況報告やチームの問題を共有し、問題解決の意見(議論大好きオランダ人です。)を出し合いました。

U15に関してはセレクションチームの編成に変更があり、それに伴いそれより下のレベルのチームもレベル調整も含め、チーム編成が大きく変わりました。(滅多にありませんが)自チームからは一人の選手(U14)がU15の監督に認められ、上のカテゴリーに引っ張られていきました。嬉しさ半分、悲しさ半分です。それによって新しい選手がチームにやってきました。育成面に目を向ければ良いことですね。

さて本題です。

私が指導させてもらっているチームは街クラブですが大人チームを除けば50チームあります。(1チーム13人から15人の選手で構成されています)

これをどうやって管理しているか?

例えば、オランダのプロクラブAZはこうやって管理しているみたいです。

http://www.soccerlab.com/index.php/company-profile/press/item/check-out-the-video-about-the-database-project-at-az-alkmaar

https://twitter.com/SoccerLAB_GmbH

このSoccerLABのソフトを使って、クラブ、コーチ、メディカルスタッフ間で選手たちを管理しているみたいです。選手のパーソナリティーにまで着目している点が非常に興味深いです。

それで私のクラブでは今年からTalentoというソフトを使って管理するようになりました。新しい試みです。今まではそれぞれがなんとなく管理(Excelを使用)してシーズンの終わりには大忙しといった感じでした。。。汗。

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スターティングメンバー

スターティングメンバー

トレーニング出席率(全43回)

トレーニング出席率(全44回)

選手評価表

選手評価表

このソフトの中には、クラブの選手全員のデータが入っています。

■選手のポートフォリオ(連絡先、評価、パーソナリティー)

■試合(内容、結果)

■トレーニング(出欠席、内容とその評価)

■チーム・個人データ(試合、トレーニング)

内容は多岐にわたりますが、ざっとまとめるとこのような項目です。これでシーズンの終わりがだいぶ楽になるのではないかと思っています。

ではなぜ、こういったソフトを使って選手を管理するのかということです。非常に単純ですが「コーチングスタッフ間における選手情報共有の簡易化」。

これが第一の目的です。

この客観的なデータを元に選手について話しをします。一人に使われる時間が短縮されより多くの選手について情報を共有することが可能となるわけです。(現段階ではセレクションチームの監督のみがこのアカウントを渡され、データの入力が一応、義務化されています。)

また、今のクラブではそこまで考えていないと思いますがAZのVTRで述べられているようにタレント発掘のヒントとデータの貯蓄(どんな性格でどんな選手がプロに成れるか等)も理由の一つかと思います。さらに親のためというのもあるかと思います。親たちも大切な子供を預けていて、色々と知りたいわけでこういったデータを見せて納得してもらうこともできます。(例えば、うちの子供のプレー時間が他の子供よりも短いのではないかといった場合にも有効活用することができます。)

他にも有効な使い方があるのではと試行錯誤しながらこういったソフトが使えれば良いかなと思っています。あまり頼りすぎない程度にですが。

今日の試合もなんとか3−1で勝利!良い週末でした。それではこの辺で。

UEFAチャンピオンズリーグ決勝を見に行こう!