DAINAGASHIMA

Football Trainer/Coach in the Netherlands

DAI NAGASHIMA

Wat is voetballen?

オランダではほとんど守備のことは話されず、いつも攻撃のことばかり。(最近、変わりつつありますが)今日は少し守備について考えてみることに。この人の話しが分かりやすく興味深かったのであとまとめてみました。

https://michaelbealeblog.wordpress.com/my-coaching-journey/

守備においてキーポイントとなるのは以下の3つ。

(1) Space (2) the maths of the situation (3) 1v1 mentality

(1) Space

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これは非常にシンプルな考えでフィールドを3当分して考え、チームとしてどこから守備をしたいのかということを設定するということです。フィールドの高い位置?真ん中?低い位置?これはゲームプランやチーム状況などによって色々変わってくるかなと思います。ここで重要なことは日々のトレーニングによって、いつこれをどのように使い分けるのかということを選手たちに理解させなければなりません。これがコーチの見せ所で難しいポイントですね。

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(2) the maths of the situation

これは攻撃時、守備時のゲームを読むということに繋がります。

チームとして守備をするときに、まず相手のフォーメーションを観ます。それを観ることでアドバンテージを握りことができます。アドバンテージ、この考え方、興味深いですね。選手たちにこう伝えたら勝手に見始めるかもしれません(オランダ人コーチはアドバンテージというより当たり前のようにこれを確認します。)簡単に言うと相手のDFが3人なのか4人なのかということです。

彼曰く、なぜこの情報が必要なのかというと、それは2つ。

①相手チームは何人でどのように攻撃してくるのかという計算を可能にしてくれること

②自チームがどのように守備的にスペースをカバーすることができるのかという計算を可能にしてくれること

■状況1

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相手のCB(青色)がボールを持ち、白色のCFがプレッシャーをかけるタイミングを待っている状況。アドバンテージという考えの中では、ここで10vs8が作れるかどうかという状況。サイドバックが2色のカラーで表されているのはボールを持つ状況と持たない状況がくることを意味しています。赤色の選手たちは白色の選手たちがボールを通させたくない選手たち。

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白色のCFが相手のCBにプレッシャーをかけ、さらに同じサイドのサイドバックにボールを出させてチーム全体でボールを奪いにいく。このタイミングで10vs8の状況を作り出すことに成功。数的有利な状況となりあとはボールを奪うのみ。

■状況2〜1人の選手が退場したら〜

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1人の選手が退場した場合、どのように守備をしたら良いでしょうか?それを選手たちは知っているでしょうか。1-4-3-3のチームオーガニゼーションに対して1-4-3-2もしくは勇敢にも1-3-3-3?様々な状況によってこれは異なるかと思います。皆さんはどうしますか?

例えば、1-4-3-2を選び、GKがボールを持ったとき、もしくは相手CBがボールを持ったとき、2人のFWにそれぞれサイドバックとCBの間に立たせてみたら、、、

the maths of the situationの守備においては、状況を見て考えることができるチームであるかどうか、さらにはコレクティブなオーガニゼーションを保てるかどうかがポイントになってきます。

(3) 1v1 mentality

サッカーにおいて(特に守備において)1vs1に勝つというメンタリティーは非常に重要でやはりこれがベースです。

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例えば1-4-3-3のチームオーガニゼーションと対峙するチームオーガニゼーションを見て考えると上の図のようになります。赤いポイントが1vs1の状況が生まれている場所です。チームとしてオーガニゼーションを整え、良い準備をすることは大切です。しかし、それと共に1vs1の状況において勝つために強く、アグレシッブに戦わなければなりません。まずはタックルをすること。これがゲームを支配するスタートポイントです。

最終的に1vs1に勝てば点を取られることもないんだよなと改めて思ったり。サッカーには本当に答えがなく、他のコーチや国から学ぶことでまた違う発見がありますねなりますね。今日はこの辺で。

10 Jun 2017

今回は選手のスカウトについて興味深いコラムがあったので要約してご紹介。かなり要約していますが(笑)

 

多くのプロクラブは多くの若い選手をスカウトし、集めています。でも、これはお金や時間の無駄かもしれません。実はこのスカウト活動、調査や研究結果とは相反するものだそうです。1992年アメリカの哲学者,Lewis Termanはインテリジェンスと社会的成功の相関関係に関して調査しました。この調査はアメリカ、カリフォルニアの小学校でIQ-testの結果が優秀(IQ135以上)であった1500人を対象としました(top 0,6% of 250.000 children)。この調査は彼らが死ぬまでフォローされたそうです。ここで期待されたのは後のトップの学者、ノーベル賞受賞者、トップの経営者などがこの子供たちから生まれることでした。

実際のところ、このIQ135以上の人たちは明らかに成功したとは言える集団とはなりえませんでした。この内31人の人たちはトップの座に上り詰めたものの、多くは普通の人たちとなんら変わらない生活を送っていました。(ほんの少しだけ社会的に地位が高かったようです。)

ここで興味深いことはこのIQテストを受けたIQ135以下の人たちの中からWilliam Shockley、Luis Alvarezという2人のノーベル賞受賞者が生まれてしまったということです。2人はIQテストの結果があまりよくなかったわけです。よってこの研究は期待ハズレの結末を迎えてしまったようです。

さてここからが本題。サッカーにおいてはどうなのかということです。インテリジェンスは感覚的な運動の才能とは対象的で測定可能な才能と言えます。Termanはあの時点で250.000人の子供からインテリジェンスに満ちた子供たちを選びました。しかし、後に世界のトップになる人材を選び損ねました。悪く言えば、彼は彼らを除外したわけです。あの時点でIQテストの結果が悪かっただけで優秀な人材として選ばれなかったわけです。Termanは間違ったセレクトをしてしまっていたわけです。

野望、努力、動機が誰がトップに行けるかどうかを決める?

このグループが29歳になった時、もう一度IQテストが実施されました。結論から言うとTermanは約60%のタレントを見つけられていられなかったようです。この時点での優秀な人材は自分自身によって時間をかけて成長していました。(当時のIQはあまり関係なかったようです)

doorzetters

最終的にこの研究、調査からIQと健康的で社会的な成功は確かに密接な関わりを持っているが、野望、忍耐力、努力、動機こそがタレントになることにおいて大きな役割を担っているということが結論付けられました。その目標に対してハードワークし、高いモチベーションを持っていればトップに辿りつけるということです。

スカウトマンは常に小さな子供の隣にいるけれど。。。。。

サッカーの世界では常にそれが現実である。プロクラブは子供たちが小さな内にスカウトしてしまいます。ただそこでは標準化された測定可能なテストに基づいて子供たちがスカウトされているわけではありません。特にアマチュアクラブではスカウトマンの主観に基づいて行われている。Termanでさえトップタレントを見逃してしまっているのに、サッカーのスカウトマンはどれくらいのタレントを見過ごしているのであろうか。

15年後に21万人の何人がサッカー選手になれるのか?

多くの子供たちは7,8,9,10歳の内にすでにスカウトされています。オランダには約21万人の7歳から11歳の子供たちがサッカーをしています。その内2万人は才能に溢れており、その内2000人が非常に優れたサッカー選手で、その内の100人がベストプレイヤーと位置付けられています。実際のところ、この選手たちが15年後にプロ選手になっているのでしょうか?それを考えるのは少し難しいところです。誰がプロ選手になり、彼らはどこに住んでるのでしょうか?

スカウトマンの主観によって15年後にプロのサッカー選手になれる選手を発掘できる確率はあるのでしょうか。確率論的には0.01%だそうです。

さらに言えば、このスカウトマンはベストな100人から選手をスカウトしているはずです。それなのになぜ?

さらにある研究からこの100人からはプロのサッカー選手になることは100%ないとのことです。なぜなら才能ある選手は直線的ではなく、不安定な曲線を描きながら成長していくからだそうです。

今、ベストな選手は10年後もベストな選手であることは往々にしてありません。それはスポーツにおけるタレントの研究結果からも導かれています。1500人のオリンピック選手を対象としたドイツの研究によれば今、現在ベストな選手が10年後もベストな選手になっているという相関関係は全く見られず、いくつかのスポーツでは非常にネガティブな相関関係が見られたそうです。また、Ackermanの研究によると例えスーパーなスカウトマンが10人中7人の才能ある選手を正しく識別していたとしても、その選手たちが10年後にトップに昇り詰める可能性はたったの0.2%しかないそうです。言葉を変えればスカウトされた1000人の中、10年後にはたった2人しかトップに上り詰めないということです。たった2人です。

クラブは間違った選手たちを教育、トレーニングしている?

Potentie van voetballers
サッカー選手のポテンシャル。
右下に分類される選手⇨ 度々スカウトされる(早熟, 体が大きい, フィジカルが強い)
左上に分類される選手⇨ほとんどスカウトに引っかかることはなく、後から成長を遂げる。

スカウトマンは今、ベストな選手ではなく、10年から15年後にベストな選手をスカウトしなければならないはずです。しかし、上のような統計や事実からこのようなスカウトという仕事は非常に困難で不可能なことのように見えます。スカウトマンが供給できないだけでなく、最終的な結果に大きく影響を与えるような変数が多く存在しています。

才能ある選手と敵、チームメイト、コーチとの関わりに関する問題についても目を向けなければなりません。コーチたちは才能のある選手の成長、思春期、フィジカルの向上、怪我、プライベートな問題(両親の離婚、引越し、精神的な問題、モチベーション、ストレス、バーンアウト)に遭遇します。子供たちは数え切れないほどの出来事に遭遇しますが、逆に言えばそれ全てが成長に繋がる要素となることとも捉えることができます。

さらにスカウトマンはその年代の特徴、早熟な子供に目を眩まされるはずです。この観点だけでみてもスカウト活動は50%は間違った方向に進んでしまいます。

水は濡れていて、火は熱い。才能はフィールドを走っている。

タレント識別において、思春期の子供のスカウトは0.5%から0.1%の当選確率の賭け事に他なりません。私は優秀なスカウトマンでタレント発掘に優れた嗅覚を持っていると主張するスカウトマンは自分の考えや存在意義の無意味さを露呈していることに他なりません。Nicolas Anelkaは5秒でその選手に才能があるかどうか判断することができると述べている。それは、本当におめでたいことで彼はミリオネアになれるはずです。でも実際は。。。。スカウトは本当に意味のない活動かもしれません。空は青く、水は濡れていて火は熱い。そして、フィールドではいつもタレントが走り回っている。この事実は変わりません。けれでもどれだけ才能が未来に走っていても誰もそれを見ることや知ることはできません。

スカウト活動が意味していることは自動的に才能ある選手を除外していることかもしれない。

オランダには多くのタレントが眠っていますが、そこには障害が多くあります。クラブが才能ある若い選手をスカウトすることは、お金や時間の無駄になる、そう考えるとアマチュアクラブに任せておいた方がよっぽど良いのではないかという話になります。

クラブはこの方法論に基づいて自己充足的予言(selffulfilling prophecy)を作成している。いわゆるスカウトマンの予言“子供たちはよくなる”は外れる。しかし、彼らは建設的にタレントになれるかもしれないだけではなく、多くの良いトレーニングを受けることに変わりはないであろう。多くのサッカー選手は正しいかわからない方法のもとある曲線の上に乗っている。このレベルでの成長、育成に関する話は今後も続いて行くだろう。

全ての子供たちは良いコーチを得なければならない。

オランダサッカー協会が現状を把握し、前に進もうと動き出したことは本当にオランダサッカーにおいて重要なことです。間違った道に進んでいることをよく見ること、それは発展プロセスの最初のスタートでもあります。スカウト活動は本当に間違った方向に進んでいます。もしどんな若い子供たち、選手たちがトップになれるかを判断することが不可能であればこのスカウト活動はやめにして、選手たちを本当に良い方向に導かなければなりません。

hoe breder de basis, des te hoger de pyramide kan worden!

裾野が広ければ、より大きなピラミッドができる!

コラム:http://www.daardan.nl/2017/02/profclubs-leiden-de-verkeerde-voetballertjes-op-stop-met-scouten/

才能をどう見分けるか。本当に難しい問題ですよね。。。多くは主観的意見で、あの選手はタレントだと言っても他の人からすればそうでないことは往々にしてありますよね。さてどうやって解決して判断していくべきなのか。やっぱりデータかな。

23 May 2017

去年の10月からKoninklijke HFC というクラブのU15で研修をしてきました。オランダのチームで研修するためにはライセンススクールに通っている必要があります。(最初はそう言われました。笑)逆を言えばライセンスを取得するためには必ずどこかのクラブ、チームに研修しに行かなければなりせん。1シーズンそのチームの監督に弟子入りさせもらうわけです。

私は今シーズン、ライセンススクールに通っていませんでした。完全なる例外というわけですね。(笑)。いくつかのクラブに断られながら勉強させてもらえる場所を探すこと約半年。やっと見つけたのがこのクラブ。色々とこだわりを持って探していたので少し時間がかかってしまいましたが。

指導歴約20年のこの監督。最近、Ajaxのアカデミーからオファーがあったとかなかったとか。でも、彼はFeyenoordのファンという(笑)。この監督オランダでは珍しく鬼軍曹です。でも全てが計算されていてどのタイミングで怒るかをいつも考えています。もちろん、褒める時は褒める。

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(U15全スタッフ、左から研修生、チームマネージャー、アシスタントコーチ、監督、ラインズマン兼チームマネジャーサポート)

さてさて先週、やっと全ての公式戦が終了しました。結果は、リーグ戦、カップ戦ともに優勝です!!!さらに凄いことにスタッフや選手たちはあまり気にしていませんでしたがまさかの公式戦無敗だった。今年のセルティックと一緒です。これにはアカデミーダイレクターも興奮していました。

 

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慣れと共に自分の役割も少しずつ変化していきました。最初はただただ横に立って話を聞いているだけで、それから段々と監督から意見を聞かれたり、相談されるようになり、スカウティングやトレーニングもさせてもらえるようになりました。なんだ君は???というスタートから考えれば凄い進歩です。ちなみにこのクラブには日本人、アジア人は私一人しかいません。これをネガティブに捉えれば相手にされないだとか差別とかにになりますが、ポジティブに捉えればすぐに覚えてもらえるということです。本当に日本人、アジア人は私しかいないので。物は捉えようですね。(クラブ会員が多いので他にいたらごめんなさい。)

結論言えば最高の研修だったということです。

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今日はこの辺で。

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